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第12話 真の巫女誕生 03

last update تاريخ النشر: 2026-05-21 06:00:18
 薫子の胸が鋭く痛んだ。

 黎斗の唇がもう動かない。代わりに、その口の端から黒い何かが糸を引くように垂れ、廊下の床に落ちた場所から、じわりと腐食が広がっていく。

 鈴子が薫子の手首を掴んだ。

 骨が軋む。常人の力ではない。薫子は歯を食いしばり、鈴子から手を離さなかった。

「……薫子様」

 千代の声が遠い。

 薫子の意識は、今、二つに裂けていた。

 目の前の鈴子。廊下の黎斗。

 どちらか一方に集中すれば、もう一方を失う。そういう局面だと、体が知っていた。浄化の光を鈴子の胸に送りながら、薫子は黎斗を見た。黎斗は、もう薫子を見ていなかった。視線は虚空に注がれ、その足が、ゆっくりと、一歩、前に出る。

 廊下の板が、足の下で音もなく炭化した。

「……黎斗様」

 薫子は呼んだ。叫びではなく、静かな声で。

 黎斗の足が止まった。

 薫子はその一瞬を見逃さなかった。彼はまだいる。あの暗い体の奥底に、まだ黎斗がいる。逃げろと言えるだけの意志が、まだ燃え尽きていない。

 鈴子の手の力が増した。薫子の手首の骨が悲鳴を上げる。黒い涎が、薫子の指に落ちた。

 焼けるように熱い。

 だが薫子は、手を引かなかっ
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